ここしばらく忙しい日が続いていることもあって、なかなか映画なぞ観に行ける環境ではなかったのですが、土曜出勤した代休という形で一人自由に行動できる機会を得ましたので、観に行ってきました「THE FIRST SLAM DUNK」
原作漫画は全巻持っていて何度も読み返している大好きな作品です。公開前に内容が全く分からなかったり、声優陣がアニメ版と全とっかえだったりと話題が色々ありましたが、元々アニメにはあまり思い入れがないので(主題歌はめっちゃ覚えてるけど)あまり気にすることもなく映画館に行きました。
リアルなバスケットボール
アニメというジャンルの映画ですが、かつてテレビでやっていたアレとは別物でフルCG作品。印象としては「漫画が動いているッ!」と感じました。つまり別物(語彙力なくて汗)
題材となる試合はもうバレバレの山王戦で、オープニングの湘北メンバー、つづいて山王メンバーが出てくる描写にゾクゾクします。かっこいい。
と、派手な演出ではじまるのですが、裏腹に試合は淡々と進みます。最初のリョータ・花道による「奇襲」もその後の得点も、本当に淡々と。
実際の高校バスケも多分こんな感じなんでしょうね。多少のどよめきは起きても開始直後の2点。劇中でも言及されてますが、湘北の応援がほとんどいないというのを体感できるほどに静かに試合が進んでいきます。
バスケそのものの描写も、シュートシーンだけではないオフザボールの選手の動きなども細かく描かれていて、漫画とは違う奥行きがあります。
特に終盤の「ドリブルこそチビの生きる道なんだよ」でみせた低空ドリブル。二人の間をすり抜け、つんのめりそうな体制を体幹で立て直すシーンは動きのあるアニメならでは。いやだとしてもあんなにきれいに動きが出せるんだなぁと妙に感心しました。
「主人公」宮城リョータ
この漫画の主人公は桜木花道なのですが、この映画は完全に宮城リョータの視点で描かれます。冒頭で彼が沖縄出身であること、バスケのうまい兄がおり、その兄を海難事故で亡くしていること。またそれ以前に父親も亡くしており、なかなかつらいです。母親は夫に先立たれ、長男も亡くすという絶望感をたたきつけられてます。ここでもう泣きそう。
リョータ本人も、兄へ放った言葉への後悔と、永遠にうまらない兄との距離を埋めるようにバスケを続けていたのでしょう。母と子の想いはずっとすれ違ったままでしたが、兄の目標だった「山王を倒す」という目標を達成し、また母もそれを見届けたことで「家族」が一つになった。
ラストシーンに描かれたリョータのその後に驚きはありましたが、家族の形を取り戻したのはバスケットボール。リョータがバスケを辞める理由がないんですよね。沢北とはタイプが違うかもしれませんが、ずっとバスケのことを考えてきたという意味ではリョータも同じだという風に僕は解釈しました。
原作を読んでない人にとってはどうなのか
原作の「SLAM DUNK」はもう30年近く昔の漫画のため、結構読んだことない人も(若い人は特に)多そう。原作未読の人がこの映画をどこまで楽しめるんだろうというのは気になるところです。
原作における山王戦は連載では最後の試合で、この試合に至るまでの過程や、リョータを除く登場人物の紹介はほとんどされていない気がします。気がする…というのは何度も原作を読み返してるせいで勝手に脳内補足をしてしまうので、映画内での説明に自信が持てません。
そういえばスタッフの中に原作未読者がいることが炎上してたように記憶しているけれど、むしろ原作未読者はこの作品の制作には重要なのだと思います。映画としてストーリー成立してるのか確認できんもん。脳内補足しちゃうとさ。
原作を読んでいる人は、背景の魚住をみつけられるし、無音だった花道のラストショット前のセリフも聞こえます。読んでなかった人たちも、原作を読みたくなる。とてもいいバランスになっていたと思いました。
欲をいえば
主題歌はオープニング、エンディングともにとてもカッコイイ曲でした。でもおじさんの脳内補足ではWANDSと大黒摩季に変換されてしまいます。ちょっと映画館でも聴きたかったなぁと。まぁ、戯れ言です。
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