ソーシャルエンジニアリング
パッケージ写真とかから、もう少し暗いテイストでアクション多めの映画かと思っていたけれど、映画のなかで彼らがやるハッキングは子供のいたずら的なものだし、ソーシャルエンジニアリング(※)というアナログな方法を使って侵入するパターンが多いので、とても分かりやすくできている反面、ディープなファンからすると肩透かし感のある内容に思いました。
※ソーシャルエンジニアリング
人間の心理的な隙や、行動のミスにつけ込んで個人が持つ秘密情報を入手する方法。
引用:Wikipedia
元来は、コンピュータ用語で、コンピュータウイルスやスパイウェアなどを用いない(つまりコンピュータ本体に被害を加えない方法)で、パスワードを入手し不正に侵入(クラッキング)するのが目的。
ダークネットの描写を地下鉄にしているのもわかりやすくていいです。PC画面上のやり取りをそのまま映像にすることが多いんですけれども、この辺は一般大衆向けによく考えられているなと思いました。
この映画はどんでん返しをさらにどんでん返すという2重トリックになっていたところが特徴で、多くの人が騙されないように注意深く観ること自体が、騙される要因になる点が秀逸だと思います。
CLAYのメンバーが主人公ベンヤミンの多重人格で、実は単独犯でしたというものはあからさまに「ファイトクラブ」ですよね。というかベンヤミンの家にポスター貼ってありましたしね。
「100%騙される」というコピーに釣られ、「ファイトクラブ」を見たことがある人は騙されやすい映画です。これも一つのソーシャルエンジニアリングか。
結局ラストはどう解釈するのか
最終的には、多重人格人格というのもトリックで、実際は全員存在していて晴れて全員自由の身というもの。
気になるのはマリが完全に仲間のように描かれていて、中盤までのベンヤミンに対する態度や、終盤の捜査官への受け答えとの違和感が大きいです。
これはネット上でも議論があるようですが、個人的にここに答えはないと思います。視聴者のご想像にお任せしますということですね。
何より、映画のほとんどは「信頼できない語り手」の独白ですから、正確な検証はしようがないんですよねぇ。
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